本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.5.28

金融システム崩壊と国家財政破綻

現在、「戦後の26年サイクル」が示す「2023年8月15日」に注目している状況でもあるが、実際には、この前後の日までに、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」という「目に見えない金融ツインタワー」が完全崩壊する可能性のことである。つまり、「1945年8月15日」の「第二次世界大戦の終戦日」から26年後の「1971年8月15日」の「ニクソンショック」により、「マネーの大膨張」と「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」が始まった展開のことである。

そして、この点に気づいたことにより、「1997年8月15日」に関して、その一年ほど前から警告を発したが、実際には、「二日前の8月13日からタイの信用収縮が始まった」という状況だったのである。しかも、その後は、「デリバティブの大膨張」により、「究極のバブル」が形成された展開でもあったが、具体的には、「G-SIBs(グローバルな金融システム上重要な銀行)により、オフバランス(簿外)で、大量の資産と負債が積み上げられた状況」のことである。

別の言葉では、「極めて多額のシニョリッジ(通貨発行益)」がメガバンクに発生したことにより、「世界の金融市場において、価格操作が実施された状況」のことだが、実際には、「金利」のみならず、「株式」や「為替」、そして、「商品」までもが、さまざまな「プログラム売買」により価格が操作されたのである。しかし、このような異常事態が、いつまでも継続可能なはずはなく、実際には、「2008年前後のGFC(世界的な金融危機)」により、「デリバティブの膨張限界点」が示されたことも見て取れるのである。

つまり、「デリバティブのバブル崩壊」が始まったわけだが、その後の問題点は、「先進各国の金融当局者が、量的緩和(QE)の実施により、デリバティブのバブル崩壊を隠蔽しようとした事実」とも理解できるのである。具体的には、「民間からの資金借り入れで、中央銀行が国債の大量買い付けを実施し、超低金利状態を作り出した方法」のことでもあるが、現在では、「国債買い付けの資金が枯渇した段階」に追い込まれてしまったのである。

そのために、今後は、「紙幣の増刷」、あるいは、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行」という最後の手段に頼り始めるものと思われるが、このことは、典型的な「金融システムの崩壊」であり、また、「国家財政の破たん」を意味するとともに、そのような状況下では、事実に気づいた世界中の人々が、慌てて、「換物運動」を始める展開も想定されるようである。