本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.4.11

現代版の徳政令

3月に発生した「米国銀行の連続破綻」と「クレディ・スイスの救済合併」については、「BIS(国際決済銀行)」や「先進各国の中央銀行」に対して、大きな決断を迫る事件だったものと考えている。つまり、それまでは、いわゆる「QT(量的縮小)」の実施により、「徐々に、中央銀行の健全性を取り戻す努力」がなされていたものが、「3月の事件」をキッカケにして、一挙に、「QE(量的緩和)」という「中央銀行のバランスシートを再膨張させる政策」へ転換せざるを得なくなった可能性のことである。

ただし、今回は、今までとは違い、「民間金融機関からの借り入れによるバランスシートの膨張が不可能な状態」となっているために、残された手段としては、旧来の方法である「紙幣の増刷」か、それとも、新たな手段である「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行」が想定される状況とも言えるようである。そして、この時の問題点としては、「紙幣の増刷」が、「金融の白血病」、すなわち、「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない状態」を引き起こす展開も指摘できるのである。

そのために、現在では、「CBDCの発行」という可能性が、最も高くなっているようにも思われるが、この手法の問題点としては、「現代版の徳政令」とも思われるために、「国民の信頼感を、一挙に失わせる可能性」が指摘できるものと考えている。つまり、この方法は、現在の懸案である「目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」の両方を、徐々に、あるいは、一挙に、「CBDC」に置き換える効果を持つものと思われるからである。

より具体的には、「民間に存在する借金や不良債権を、国家が、すべて肩代わりする方法」であり、その結果として、この方法が採用された場合には、「通貨への信用」が、完全に喪失する可能性も考えられるのである。別の言葉では、「80億人の換物運動」が、一挙に始まる可能性のことでもあるが、実際には、「食料を始めとした生活必需品」に対して、「大津波のような需要が発生する可能性」のことである。

そして、このことが、「論語」が指摘する「信なくば立たず」という状況を表わしており、「過去の歴史」では、頻繁に発生していたことも見て取れるのである。ただし、今回は、「1600年に一度」とも呼ぶべき「マネーの大膨張」や「世界的な大都市の発生」により、「人々の理解や認識」が遅れている状態とも考えられるために、今後は、未曽有の規模での大混乱が想定されるものと感じている。