本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.2.6

世界的な不動産バブルの崩壊

現在、世界的に「不動産バブルの崩壊」が顕著になってきたが、この点に関して重要なポイントは、「バランスシートの非対称性」を認識しながら、「不良債権が、どのようにして発生するのか?」を理解することだと考えている。つまり、「バランスシートの内部において、負債の金額は、ほぼ一定でありながら、資産の金額が激変する事実」により、「資産価格の急減が、不良債権の発生に繋がる展開」のことである。

そして、このような状況を加速させた要因としては、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」、あるいは、「1980年代初頭から始まったデリバティブの急拡大がもたらした世界的な金利低下」が指摘できるものと考えている。具体的には、「人類史上、きわめて異常なスピードで、商品と通貨の残高が爆発的な増加を見せた展開」のことである。

別の言葉では、「既存の経済学で、ほとんど説明が付かないような展開」だったことも理解できるが、この点については、「数百年前から始まった自然科学の急速な発展」が、根本的な要因として指摘できるものと感じている。つまり、「人類の絶えざる進化と創造のメカニズム」として、「DNA」や「東西文明の発展」のみならず、「自然科学と社会科学」、あるいは、「商品と貨幣」など、さまざまな面において、「二重らせん構造」の存在が指摘できるようにも感じられるのである。

そして、これから想定される「未曽有の規模での金融大混乱」についても、「進化と創造のメカニズムにおいて、必要不可欠な出来事ではないか?」とも感じているが、実際には、「花が開くためには、寒い冬が必要な状況」のことである。また、「金融混乱の度合い」を測るうえで、今後、注目すべき点は、「部門別の資金ひっ迫状況」を理解することだと考えているが、現時点では、「国家」や「中央銀行」のみならず、今まで資金的に余裕が存在した「民間金融機関」、そして、「民間企業」や「個人」までもが、「株式や不動産のバブル崩壊」などにより、「資金繰りの問題」が発生し始めている状況とも思われるのである。

つまり、「資産価格の急減がもたらす不良債権の発生」が、現在、「世界の至る所で、急速、かつ、急激に発生している可能性」が想定されるために、今後は、「中央銀行の役割」に急激な変化が発生する展開も想定されるのである。具体的には、「最後の貸し手」として、「さまざまな金融主体に資金を提供する役割」のことであり、実際には、やはり、「紙幣の大増刷」を実施せざるを得なくなる状況のことである。