本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.2.4

インフレ指数の信憑性

2月3日に発表された「米国の雇用統計」では、「非農業部門の就業者数が、予想を大きく上回る伸びとなった」と報道され、その結果として、「株価」や「金利」、そして、「為替」や「商品価格」などが大荒れの状態となったが、このことは、典型的な「三次元の経済学」の弊害だと感じている。つまり、「現状だけを切り取る方法論により、どのような理屈でも付く状況」のために、「経済指数などの発表に一喜一憂する状態」のことである。

そのために、私自身としては、「時間の経過とともに、商品と通貨の残高が、どのように変化してきたのか?」を具体的な数字で分析する「四次元の経済学」を利用することにより、「世界に関する、時間的、かつ、空間的な全体像」が、より正確に把握できているものと感じている。別の言葉では、「民間企業と個人」や「民間金融機関」、あるいは、「国家」や「中央銀行」など、「それぞれ部門において、どのようなバランスシートが形成されているのか?」などを理解する方法論のことである。

そして、このような観点から理解できることは、現在の「インフレ指数」に「不動産や株式、あるいは、国債やデリバティブなどの金融商品が含まれていない事実」であり、また、「通貨や貨幣の理解において、信用創造(貨幣の創造)の解釈に問題が存在する可能性」とも言えるのである。具体的には、「民間金融機関が簿外(オフバランス)で保有するデリバティブ」に関して、「大量のデジタル通貨が創り出された可能性」が指摘できるとともに、現在の経済学では、この点が無視されていることも見て取れるのである。

そのために、今後の注意点としては、「どのような貨幣が、どのような商品に流れるのか?」が挙げられるが、実際には、「インフレ統計」に含まれている「実物商品」などに対して、「デジタル通貨」が「紙幣」に形を変えて、大量に流れだす展開のことである。つまり、「お金(マネー)の性質」としては、「価格が上昇する商品に、資金が流れる傾向が存在する」という点が指摘できるために、現時点で必要なことは、「今までに、どのようなバブルが発生し、また、弾けてきたのか?」を理解することとも言えるのである。

より具体的には、「金融の逆ピラミッド」の頂点に君臨してきた「デリバティブ」のバブル崩壊後に発生した「金融のメルトダウン」が、今までに、「国債のバブル」や「ハイテク株のバブル」、あるいは、「不動産のバブル」などを発生させてきた状況のことでもあるが、現時点では、「インフレ統計に含まれる商品群に、大量の資金が流れ始めた段階」、そして、今後は、この動きが加速する展開が想定されるものと考えている。