本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.1.18

習近平の方針転換

現在、世界的に注目を浴びている出来事の一つが、「習近平の方針転換」とも思われるが、実際には、「ロシアと距離を置きながら、欧米に近づこうとする態度」であり、また、「戦狼外交を弱めながら、国内経済の回復を図ろうとする態度」である。別の言葉では、「軍事力と資本力を背景にして、世界の覇権国家を追求する態度」から、「国内の評判を気にしながら、自分の地位を保とうとする態度」へ転換中の状況のことでもあるが、この時に必要なことは、やはり、「習近平とプーチンの歴史的役割」を考える必要性である。

より詳しく申し上げると、「共産主義や社会主義とは、いったい、何だったのか?」を、根本から考えることであり、実際には、「ケプラーやニュートンなどから始まった自然科学の発展」が、その後、「社会科学の発展を促した可能性」のことである。別の言葉では、「シュペングラー」の主張のとおりに、「文明の発展過程における紆余曲折の可能性」の結果として、「史的唯物論」、すなわち、「資本主義の崩壊後に共産主義の時代が訪れる」という誤った認識を、「プーチンや習近平が信じ込んだ可能性」である。

つまり、今回の「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」については、「軍事力や資本力による他国への帝国主義が、どれほど時代錯誤的な思想であるか?」という点を、世界的に知らしめる効果があったものと考えられるのである。また、「ロシアの失敗」を見た「習近平」は、結果として、「共産党の政治体制そのものが、民主主義的な経済発展を阻害する可能性」に、ある程度、気付かされた状況とも思われるのである。

別の言葉では、「中国4000年の歴史が証明する易姓革命の事実を思い出した可能性」のことでもあるが、実際には、「国民の反乱により、共産党の存在そのものが危うくなる可能性」に怯え始めた可能性のことである。そのために、今後の注目点としては、「30年前に発生した日本の不動産バブル崩壊」を参考にしながら、「中国の不動産バブル崩壊が、今後、どのような影響を及ぼすのか?」を理解することだと考えている。

より具体的には、「中国」で発生すると思われる「1000兆円を超える規模の不良債権」が、今後、「民間金融機関」から「政府や中央銀行」へ、「どの程度の速度で移行していくのか?」を見守ることである。また、「西洋の資本主義諸国」において、「金融システムの崩壊」が発生した時に、「中国やロシアが、どのような影響を受けるのか?」を考えることでもあるが、実際には、「資本主義の崩壊後に、共産主義ではなく、数多くの小さな共同体(コミュニティー)が発生する状況」を示唆しているものと感じている。