本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.9.14

金価格の都市伝説

「金(ゴールド)の価格」については、「ドルと金利にマイナスの影響を受ける状況」、すなわち、「ドル高になり、また、金利が上昇すると、価格が下落する展開」が指摘されているが、この点については、「未熟な経済理論の弊害」、あるいは、「現代の都市伝説を象徴するような意見」のようにも感じている。つまり、私自身も、「1980年代に、米国の大学で、この理論を学んだ」という状況だったが、その後の「投資の実践」における検証では、大きな誤りだったものと感じているのである。

より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック」以降、私が提唱する「信用本位制」と呼ぶべき通貨制度に変化したために、「通貨と商品の概念」そのものが、大きな変化を遂げたものと考えられるのである。具体的には、「金(ゴールド)」が「通貨の役割」を失い、単なる「商品の一つ」となり、また、「デリバティブという金融商品の大膨張」により、「デジタル通貨の大膨張」が発生したことも見て取れるのである。

その結果として、「金の価格が、金利やドルの動向に左右されない状況」が発生したものと考えられるが、この点については、「政府やメガバンクなどによる市場価格の操作」も考慮に入れる必要性があるものと感じている。つまり、「金利」のみならず、「株価」や「為替」、そして、「貴金属の価格」までもが、「デリバティブを大量に保有する一部のメガバンクにより、市場がコントロールされていた状況」のことである。

そして、この事実を象徴するのが、「過去20年余りの、世界的な超低金利状態」とも思われるが、現在では、反対に、「海中に押し込められていたビーチボールが、水面下に飛び出したような状態」というように、「大きな反動」が発生している状況とも考えられるのである。つまり、「ハイパーインフレ」を引き起こす要因である「大量に創り出されたデジタル通貨」が、今後、「紙幣の形で市中に出回る状況」を想定しているが、今回の、これほどまでの異常事態については、人類史上、初めての事態とも理解できるのである。

そのために、これから必要なことは、「既存の常識」を忘れ去るとともに、「人間の生活にとって、何が、最も重要なのか?」、あるいは、「実体経済とマネー経済との比率が、現在の約10:1から1:1に変化した時に、どのような変化が発生するのか?」を考えることである。そして、この時に見えてくるのは、「金(ゴールド)が、本当のお金であり、また、この事実が、過去5000年間、揺るがなかった事実」であり、また、「金の価格が、ドルや金利に左右されず、今後、価格が急騰する可能性」だと感じている。