本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.8.4

CBDCの限界と問題点

「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」については、現在、「新興国のみならず、欧米諸国でも導入にアクセルを踏み始めた」と報道されているが、この問題を考える上で重要なポイントは、「CBDCの限界と問題点」を理解することだと考えている。つまり、「お金の性質」や「マネー膨張のメカニズム」からは、「CBDCに数多くの問題点が存在し、実現が不能になる可能性」も想定されるからである。

具体的には、最初に、「商品と通貨の関係性」が指摘できるが、このことは、「商品の誕生と成長が通貨の膨張を生み出すものの、その後、膨張した通貨が、インフレの発生に繋がる展開」のことである。また、「1970年代のスタグフレーション」に関しては、「ニクソンショックで生み出されたマネーが実物商品に殺到した」という状況だったものの、その後は、「1980年代の初頭に誕生したデリバティブという金融商品が、商品の大膨張と通貨の吸収という役割を担った展開」だったことも理解できるのである。

より詳しく申し上げると、「2008年前後のGFC(金融大危機)」までは、「金融界のブラックホール」や「金融界の仮想現実」とでも呼ぶべき状況下で、「大量のデジタル通貨が、デリバティブという金融商品で運用され、実物資産へ流れることがなかった状態」だったのである。しかし、その後の「量的緩和(QE)」は、「中央銀行が民間銀行から資金を借り入れて、国債の大量買い付けを実施した状況」であり、また、現在では、「紙幣の増刷でしか、資金の借り入れが実施できなくなった状態」に追い込まれているのである。

つまり、「コンピューターネットワークの中を流れることができない紙幣の増刷」については、あっという間に、「金融界の白血病」を引き起こす可能性があるために、現在、「デジタル通貨の大量発行」が計画されているものと想定されるのである。しかし、この時の問題点は、「大量発行された資金を吸収する商品が存在しない場合、既存の商品価格が暴騰する可能性」である。実際には、「商品の売り上げ増」という「実体経済の成長」が存在しないときに発行された通貨については、「紙幣」であろうが、「中央銀行のデジタル通貨」であろうが、結局は、「既存の商品価格を急騰させる効果」が存在するのである。

そのために、現在、問われていることは、「100年余りの歴史しか存在しない世界各国の中央銀行」の「存在意義」であり、また、過去100年間にわたり、「お金の謎」が解けず、また、「人々の欲望」もコントロールできない状況下で、「お金の魔力に囚われた人類が、どのような行動を取ってきたのか?」の「検証」だと感じている。