本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.8.3

東西冷戦構造の復活

2月24日に発生した「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」から、現在では、「6ケ月目」を迎えているが、現時点で必要なことは、「この出来事が、世界情勢に対して、どのような変化をもたらしたのか?」を冷静に分析することだと考えている。つまり、この事件をキッカケにして、かつての「東西冷戦構造」が復活した状況や、あるいは、「この事実が、今後、両陣営に対して、どのような影響を及ぼすのか?」を推測することである。

より詳しく申し上げると、「1991年のソ連崩壊」により誕生した「現在のロシア」に関しては、現在、「中国」や「北朝鮮」などと同様に、「軍事的な独裁国家」となっているものと理解できるのである。つまり、「プーチンや習近平、そして、金正恩などが武力で支配する、きわめて異例な独裁状態」のことでもあるが、この点に関する今後の注目点は、やはり、「独裁者と国民との関係性」だと考えている。

具体的には、「隷従状態にある国民が、今後、どのような行動を取るのか?」ということだが、この点に関して、最も注視すべき国は「中国」であり、その理由としては、「中国国内における民間金融機関の資金繰り」が指摘できるものと感じている。つまり、現在の中国に関しては、30年ほど前の日本と同様に、「不動産バブルの崩壊」と「不良債権の残高急増」に見舞われている状況とも想定されるのである。

そして、このような状況下で問題視すべき点は、「中国共産党が、中国国内の金融システムを守ることができるのか?」ということであり、また、この時に、大きな意味を持ってくるのが、現在の「東西冷戦構造の復活」とも言えるのである。具体的には、「世界の金融システム」に関して、「資金的な分断」が発生する可能性のことでもあるが、特に注目すべき点は、「完全主義を目指す中国が、中国のメガバンクを、どのようにして救うのか?」ということである。

このように、「1990年代後半の西側諸国で発生した金融混乱」については、「東側諸国における資本主義化の動き」や「デリバティブの大膨張」などが引き起こした「超低金利状態などにより、「問題の先送り」が可能な状況だったことも理解できるのである。しかし、現在の状況を鑑みると、「すべてが逆行現象を始めた状態」となっており、そのために、今後は、「金利やインフレ率の急騰」、そして、「国家や中央銀行の資金ひっ迫」が「東西の両陣営で発生する可能性」が高まっており、その結果として、「国民の不満が抑えきれなくなる状況」も想定されるのである。