本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.6.30

軍事支配と金融支配

現在の世界情勢は、「明治維新時の日本」を彷彿とさせる状況、すなわち、「尊王攘夷派と開国派が争っている間に、世の中が紛糾し、気が付いたら、250年以上も継続していた江戸幕府が崩壊していた展開」のようにも感じている。つまり、新たな「東西の冷戦」とも言える「軍事支配の権威主義国家」と「金融支配の民主主義国家」が、いろいろな争いを繰り返しているうちに、「800年間も継続した西洋の物質文明が、終焉の時期を迎える可能性」のことである。

より詳しく申し上げると、「西暦1200年頃から始まった西洋の物質文明」については、「非理法権天」という言葉のとおりに、「非合理な状態」から「合理的な状態」へ移行し、その後、「法的な秩序」の形成とともに、「権力の発生、そして、増大から暴走へ」という展開となったことも見て取れるのである。別の言葉では、「富に仕える時代」において、「世界中の人々が、軍事力や金融力がもたらす権力に隷従していった状況」のことでもあるが、現在では、「軍事力に隷従する権威主義国家」と「金融力に隷従する民主主義国家」に分かれた状況のようにも感じている。

そして、今後は、両方の陣営に、大きな影響をもたらす「貨幣価値の激減」、すなわち、「インフレの大津波に見舞われる展開」が待っているものと思われるが、この点に関して、現在では、再度、「米国のデリバティブ」に注目が集まり始めているのである。具体的には、「米国の通貨監督庁(OCC)」が、6月に発表したレポートによると、「米国最大の銀行であり、また、2014年から5回も、重要な金融犯罪で処罰を受けたJPモルガンチェース」に関して、再び、「デリバティブのバランスシート残高の急増が見られた」とも報告されている状況のことである。

つまり、「2019年の9月」に発生した「米国金利の急騰」や。その結果として引き起こされた「米国金融機関への大量資金の供給」については、その原因として、「デリバティブの破綻」が噂されていたわけだが、実際の展開としては、「コロナショック」が引き起こした「実体経済の悪化」により、「問題の先送り」や「時間稼ぎ」が可能な状況だったものと想定されるのである。

しかし、現在では、「インフレ率や金利の急騰」により、すべての問題が、白日のもとに晒され始めた状況となり、間もなく、「金融界の大量破壊兵器」と言われた「デリバティブ」の完全崩壊に見舞われるものと考えている。