本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.5.17

バブル相場における投資家の意識と行動

「バブルの存在は、バブルが弾けた時に、初めて気付かれる」ということが、46年間、金融市場に携わった私自身の素直な感想でもあるが、この点については、「投資家の意識と行動」が、大きな役割を果たしているものと感じている。つまり、今までに、さまざまな「バブル相場」を経験してきたが、現在の「DXバブル相場の崩壊」を見ていると、まさに、過去のパターンを踏襲しているものと思われるのである。

具体的には、「全体の中で、どれだけの人が、投資に参加しているのか?」ということであり、実際には、「変化に敏感な初期の10%」が「バブル相場の発生」にかかわるものと想定されるのである。そして、その後、「全体の50%が、投資に興味を持ち始め、実際の行動を始めた時」に、「バブルの自己組織化」とでも呼ぶべき状況、すなわち、「残りの人々が、急速に、バブル相場に参戦する展開」が始まるものと考えられるのである。

ただし、今回の「金融バブル」において、最も難しかった点は、「デリバティブのバブル」に関して、「ほとんどの人が、実情を認識しなかった事実」であり、その結果として、「多くの人々が、自分が知らないうちに、バブル相場に参戦していた状況」だと感じている。つまり、「2010年前後」が「デリバティブバブルのピーク時」だったものと想定しているが、実際には、「金融のブラックホール」という「仮想現実の世界」で、「デジタル通貨が狂喜乱舞していた状況」のことである。

しかし、現在では、「ダムの崩壊による大量の放水」のような状況、すなわち、「金融界のホーキング放射」による「実体経済への資金移動」により、「インフレ率と金利が、世界的に急騰を始めている状態」となっているのである。別の言葉では、「デリバティブバブルの完全崩壊」を控えて、世界の資金が、徐々に、「マネー経済」から「実体経済」への移転を始めている状況とも言えるのである。

そのために、これから予想される展開としては、「1923年のドイツ」などと同様に、「実物資産価格の急激な上昇」だと考えているが、現時点における「投資顔の意識と行動」に関しては、いまだに、「全体の10%程度が、実際の行動を始めている状態ではないか?」とも感じられるのである。つまり、これからが、本格的な大インフレの始まりとも思われるが、この時の注意点は、今回の「DXバブル」と同様に、「全体の90%程度の人々の意識が凝り固まり、かつ、実際の投資行動を実施する時期」を待ちながら、「わらしべ長者」の童話のとおりに、「売られすぎた資産」に交換することだと感じている。