本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.4.27

金に向かい始めた世界のマネー

現在では、多くの人々が、「金(ゴールド)への投資」を始めている状況とも思われるが、この点に関する思い出としては、「1987年10月19日に発生したブラックマンデー」が挙げられるとともに、「この時から、私自身が、大きな流れから乖離した事実」が指摘できるものと考えている。つまり、私自身は、ブラックマンデーに大きな要撃を受け、その後、「お金の謎」を考え出したのだが、一方で、「世間一般の流れ」としては、「お金儲けの方法論に、人々の興味と関心が向かった状況」だったのである。

別の言葉では、「日本橋」を起点にして、「ほとんどの人々が、金閣寺を参拝するために、東海道を歩き始めた」というような状況下で、「私自身は、平泉の金堂を参拝するために、正反対の方向である奥の細道を一人で歩き始めたような展開」のことである。そして、結果としては、「日本の土地や株式のバブル崩壊」や「1991年のソ連崩壊」、あるいは、「不良資産が、どのような形で移転したのか?」や「なぜ、欧米諸国は、デリバティブバブルの発生に注力したのか?」などを経験し、理解することができたものと感じている。

しかし、一方で、世界的な展開としては、「ピーク時の2010年前後に、約8京円の規模にまで大膨張したデリバティブのバブル」により、「世界全体が、超低金利の恩恵を受けるとともに、金融のメルトダウンにより、さまざまなバブルが発生した」という状況だったのである。つまり、大量に創造された「デジタル通貨」と、それまでに構築された「世界的なコンピューターネットワーク」の存在により、「世界全体が、大量のマネーを使用して、過剰な消費を行った状況」のことである。

より具体的には、「地球の温暖化」がもたらす「異常気象の発生」などにより、「人類そのものの生存が、将来的に危ぶまれる状況」となり、実際に、最近では、「コロナウイルスのパンデミック」という恐るべき展開に見舞われたのである。そして、この時の変化としては、「フローの性質」を持つ「実体経済」が、急速に縮小する結果となったものの、「ストックの性質」を持つ「マネー経済」については、「紙幣の増刷による、更なる大膨張期に入る展開」となったことも見て取れるのである。

ただし、現在では、このような状況下で、世界中の人々が、急速に、「35年前の私と同様に、お金の謎を考え始めた可能性」が指摘できるものと思われるが、仮に、私の想定が正しいとしたら、今後の展開として予想されることは、「金やプラチナの現物が、現在の銀と同様に、ほとんど枯渇する可能性」だと考えている。