本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.4.5

反グローバル化がもたらすコスト上昇

現在、世界的に発生している現象は、「反グローバル化がもたらすコスト上昇」だと考えているが、実際には、「1980年代初頭」から始まった「実体経済とマネー経済のグローバル化」に関して、急速な「巻き戻し」が起こっている状況のことである。つまり、最初に発生した「実体経済のグローバル化」については、「中国などの低賃金」を見込んで、「工場の移転」などが実施された状況だったことも見て取れるのである。

また、後半の「マネー経済のグローバル化」については、かつての共産諸国が資本主義化したことにより、世界的な「マネーの大膨張」が発生し、その結果として、「約20年にわたり、超低金利状態が形成された状況」のことである。別の言葉では、「デリバティブの大膨張」と「世界的な量的緩和(QE)」により、「世界の金融システムが、デジタル通貨によって独占され、資金面における調達コストの低下が発生した状況」である。

しかし、これから予想される現象は、最初に、「金利やインフレ率の上昇」という「マネー経済の反グローバル化」であり、その後、いまだに「約6京円」もの規模を持つ「デリバティブのバブル」が崩壊する展開である。つまり、「債券価格」の低下により、「デリバティブの保有が難しくなる状況」のことだが、実際には、「デリバティブを保有しているメガバンクが、今後、巨額の損失に見舞われる可能性」である。

そして、その後に予想される現象は、「インフレ率の急騰」により、「実体経済の反グローバル化」が顕著になる可能性でもあるが、実際には、「売り上げよりもコストの増加率が大きくなる展開」のことである。つまり、これからの投資において重要なことは、「どのような種類のマネーが膨張するのか?」に加えて、「どのような商品に資金が流れるのか?」の判断とも考えられるのである。

より詳しく申し上げると、「紙幣の大量発行」の結果として、「換物運動」が、急速に促進する状況のことでもあるが、この時の注目点は、「どのような企業の売り上げやコストが増えるのか?」ということである。つまり、「1923年のドイツ」や「1991年のソ連」などの、過去の「ハイパーインフレ」において見られたことは、最後に発生する「急激な価格上昇」の時に、通常のビジネスが難しくなる状況だったのである。別の言葉では、「20%以上のインフレ」に見舞われた状況下で発生する現象は、「売り上げの急減」と「コストの急増」であり、その結果として、「ほとんどの企業が、大幅な赤字に陥った」という状況のことである。