本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.2.2

世界のマネー事情

最近の経済報道で驚かされることは、いまだに、「実体経済だけの議論」に終始し、「マネー経済に対する認識」が広がっていない状況でもあるが、今後の展開として予想されることは、「既存の経済学が、より一層、無力化し、その結果として、人々の混乱状態が加速化する可能性」だと考えている。別の言葉では、「世界のマネー事情」に対する興味と関心の高まりのことでもあるが、実際には、「現在の世界に、どれほどの債務残高が存在し、また、金利上昇により、どのような影響が発生するのか?」などの問題意識のことである。

より詳しく申し上げると、今までは、「金融のコントロール」が効いており、その結果として、「金融界のブラックホールにデジタル通貨を押し留める方法」、すなわち、「デジタル通貨が実物資産へ流れる事態」を阻止することが可能な状況だったのである。別の言葉では、「実体経済の議論」だけに終始することにより、「世界のマネー事情」や「お金の謎」などから、人々の興味と関心を逸らすことに成功していた状況のことである。

しかし、現在では、「中央銀行による国債の買い付け」などにより、「国民の預金」などの「デジタル通貨」を使い果たし、その結果として、「世界的な金利上昇」が始まった段階とも言えるのである。つまり、既存の経済理論では理解できない「大膨張した世界のマネー」が、「仮想現実」から「リアルの世界」へ移行を始めたものの、多くの人々は、いまだに、「景気が良い時にしか、金利やインフレ率は上昇しない」という誤解を持っており、そのために、「何が何だか、訳が分からない状態」となっているのである。

そして、過去の歴史が教えるとおりに、「大混乱の極みになって、ようやく、真理や実情が理解される展開」が繰り返されるものと思われるが、この点については、「日本の明治維新や第二次世界大戦の敗戦」などが典型例のようにも感じている。つまり、「心の底では、『何かおかしい』と感じながらも、意識や行動が変化しない状態」のことでもあるが、実際には、「周りの人が、徐々に、意識や行動を変化させることにより、全体としての変化が発生する展開」とも言えるようである。

別の言葉では、「時代の流れが、どのようにして決定されるのか?」という点に関して、結局は、「人々の意識と行動」が、大きな役割を果たしているものと思われるが、今後、最も注目すべき変化は、「世界のマネー事情が認識された時に、人々の行動が、大きく転換する可能性」であり、実際には、すでに始まった「通貨価値の下落(真のインフレ)」が、「決して、一時的なものでない」と、広く理解されることである。