本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.11.11

金利とインフレ率との乖離

11月10日に発表された「米国のCPI(消費者物価上昇率)」は「+6.2%」であり、「インフレの到来を、より一層、確信させるような統計数字」であったが、一方で、「米国の一年国債の金利」については「+0.15%」というように、インフレ率とは、大きな乖離が存在する状況だった。つまり、現在の情勢は、従来の経済理論では考えられないような展開となっているが、この点を理解するためには、やはり、「時間の経過」を考慮した「四次元の経済学」が必要な状況のようにも感じている。

つまり、現在の「インフレ率」は、「対象となる商品が、ほとんどの場合、実物資産となっている状況」であるものの、一方で、「金利」は、「大量に存在するデジタル通貨とデリバティブなどの金融商品との関係性によって決定されていた状況」とも言えるのである。別の言葉では、「金融界のブラックホール」の内部で、「デジタル通貨とデジタル商品とが交換されている間は、インフレ率の上昇が隠されていた状況」だったものの、現在では、「徐々に増刷された紙幣が、実物商品へと流れ始めた段階」とも言えるのである。

より具体的には、「デリバティブのバブル」によって隠蔽されていた「金融界の闇」が、表に出始めた状況とも想定されるが、今後の注目点は、「強引に押し下げられていた金利の動向」だと考えている。つまり、これから想定される展開は、「一年物の国債金利が、インフレ率と同様に、6%前後にまで急騰する可能性」であり、このような状況下では、「金利の支払いにより、米国の国家財政が破綻する危機」も予想されるのである。

その結果として、これから予想されることは、「世界全体で、大量の紙幣が発行される展開」とも思われるが、このことは、「コロナ・ショック」でマヒ状態に陥った「実体経済」に関して、「金融界の白血病」という「マネー経済のマヒ状態」が加わることを意味しているのである。つまり、過去20年あまりの「世界的な超低金利状態」が、一挙に、大転換の時期を迎える可能性も想定されるわけだが、この点に関して重要なポイントは、やはり、「5000年ほど前に人類が発明したお金というのは、基本的に、金(ゴールド)が根本である」という事実である。

つまり、現在では、「インフレヘッジ」に関して、「ビットコインか、それとも、金(ゴールド)か?」という議論が、海外で発生しているようだが、この点に関して、重要なポイントは、やはり、「歴史的観点から、物事を考察する態度」であり、私自身としては、「金を始めとした貴金属」をお勧めする次第である。