本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.10.26

コントロール不能なインフレ

海外では、現在、「コントロール不能なインフレ」、すなわち、「ハイパーインフレ」に関する議論が熱を帯び始めているが、具体的には、「IMF(国際通貨基金)が、米国FRBに対して、コントロール不能なインフレへの備えを警告した」というものである。そして、この点について、「イエレン財務長官」は、マスコミに対して、「インフレ圧力は高まっているものの、インフレがコントロール不能な状態に陥ることはない」と述べているが、実際には、いわゆる「リップサービス」とでも呼ぶべき内容だったものと感じている。

また、現在、この問題が過熱化している理由としては、「世界的なインフレ期待」を反映する「ブレークイーブンインフレ率(BEI)の急騰」が挙げられるが、実際には、「米国の5年国債とインフレ連動債との利回り格差」が「約3%」にまで上昇しているのである。つまり、「期待インフレ率=名目金利-実質金利」という「フィッシャーの方程式」において、現状は、「名目金利」を強引に抑えているために、「実質金利」が急速に低下している状況、すなわち、「通貨や預金などが、急速に目減りを始めている状況」とも言えるのである。

そして、このことが、現在の「世界的なインフレの加速」に関して、最も重要な要因となっているが、実際には、「金融界のブラックホール」に隠されていた「デジタル通貨」が、「紙幣」の形となって、「現実社会」へと流れだしてきた状況とも言えるのである。別の言葉では、「人類の歴史を辿っても、これほどまでの異常事態を見つけることが困難な状態」とも思われるが、「人間の性(さが)」としては、「水茹での蛙」の諺のとおりに、「長い時間をかけて達成された大変化に関しては、ほとんど気付かない状況」となっているのである。

つまり、「800年に一度の東西文明の交代」については、現在、ほとんどの人が気付かない状況となっているものと思われるが、実際には、「デジタル通貨が、ほぼ瞬間的に、雲散霧消となる状態」、すなわち、「人類史上最大規模のハイパーインフレ」が、今後の数年間で発生するものと想定されるのである。

そして、この点に関して、「IMF」や「FRB」などが、いろいろなコメントを述べ始めてきた状況というのは、「インフレの大津波」が、すでに「第二波」に入っている状況を意味しているものと思われるが、今後の注目点は、やはり、「いまだに約6京円も存在するデリバティブのバブルが、いつ、崩壊するのか?」ということだと考えている。つまり、「暦のフラクタル」」が意味する「11月23日前後」のことでもあるが、この点については、私自身の「最初の検証事項」のようにも感じている。