本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.10.20

世界的な利上げの始まり

現在は、「世界的な利上げ」が始まった段階とも思われるが、この点に関して最も注目すべきポイントは、「過去20年あまりの超低金利状態」だと考えている。つまり、「金利」というのは「お金の値段」であり、今までの展開としては、「大量のお金が存在する時に、超低金利状態が発生する状況」だったことが見て取れるのである。別の言葉では、人類史上、最大規模の「デリバティブのバブル」が発生したために、「金融界のブラックホール」の内部で「大量のデジタル通貨」が産み出された状況のことである。

より詳しく申し上げると、「約2500兆円」の規模と言われた「日本の土地バブル」と比較して、「30倍あまりの約8京円」にまで、デリバティブの残高が大膨張し、ピークを付けた時に発生したのが、いわゆる「リーマンショック」だったが、現在では、この状況に関して、「GFC(金融大混乱)」という名前が付けられているのである。そして、その後は、いわゆる「量的緩和(QE)」という「デリバティブのバブル崩壊を隠ぺいし、先送りするような政策」が取られてきたわけだが、この時に発生したのが、「金融のメルトダウン」であり、また、「DX革命」と言われるものだったのである。

つまり、「大量に産み出されたデジタル通貨が、世界全体に広まった状況」のことであり、この過程で、さまざまな「ミニバブル」が発生したわけだが、この時の注意点は、「すべてが、金融界のブラックホール内の出来事だった」という事実である。別の言葉では、「コンピューターネットワークという仮想現実の世界で、デジタル通貨が活躍した状況」のことでもあるが、現在では、「仮想現実から現実世界への資金の漏れ出し」の結果として、「実物資産価格の上昇」が始まったものと想定されるのである。

より具体的には、「金融界のホーキング放射」、すなわち、「仮想現実から現実世界への大量の資金移動」が始まったものと思われるが、具体的には、「デリバティブが創り出したデジタル通貨が、紙幣となって現実世界へ流れ始めた状況」のことである。つまり、「オカネとモノとの関係性」において、「大量に存在する世界のオカネが、きわめて小さな実体経済のモノへ向かい始めた状況」のことであり、古典的な経済理論では、このことが、「インフレ(通貨価値の減少)」と理解されていたのである。

そして、今後は、「実体経済」の「約10倍」と言われている「マネー経済」が、正常なレベルに戻るまで、急激な「物価や金利の急騰」が発生するものと考えているが、基本的には、「2023年の8月頃」が混乱の最終段階になるものと感じている。