本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2021.10.18

金融界のホーキング放射

現在の「ミートショック」や「ウッドショック」などと呼ばれている現象は、1970年代に発生した「オイルショック」を彷彿させるような状況となっているが、一方で、具体的な数字で把握した「金融システムの現状」から言えることは、「インフレの規模とスピードに天地ほどの違いが存在する可能性」である。つまり、今回の「実物商品の価格上昇」については、「巨大な金融のダムから、徐々に、『水』に相当する『マネー』が漏れだした状況」であり、今後は、「金融システムの崩壊とともに、巨額の紙幣が、大量に市場に流れだす展開」が想定されるのである。

そして、このことが、私が想定する「金融界のホーキング放射」だと考えているが、実際には、「超低金利の蓋」で覆われていた「金融界のブラックホール」から、「内部で創られていたデジタル通貨が、紙幣に形を変えて、大量に放出される展開」のことである。つまり、「お金(マネー)の根本は信用である」という言葉のとおりに、現代人は、「目に見えない単なる数字」を「マネー」であると錯覚し、大量の「デリバティブ(金融派生商品)」や「デジタル通貨」を産み出したわけだが、現在では、「金利の上昇」とともに、「金融界のホーキング放射」とでも呼ぶべき現象が始まっているのである。

より具体的に申し上げると、「フローである実体経済」と比較して、「約10倍」の規模にまで膨らんだ「ストックであるマネー経済」から、大量の資金が流れ始めた状況のことである。そして、今後は、この流れが、急速に加速するものと想定されるが、この理由としては、「国債の需給関係が一挙に悪化し、金利が急騰する事態」、そして、「世界各国の中央銀行が、慌てて、紙幣の大増刷に走り出す展開」が指摘できるものと考えている。

つまり、「1923年のドイツ」や「1991年のソ連」のような情況のことだが、この点を、「過去100年間で、どのような変化が発生したのか?」などを考える「四次元の経済学」から考慮すると、きわめて厳しい状況が想定されるのである。具体的には、「今後の数年間に、実物資産価格が急騰する事態」のことでもあるが、一方で、「量子力学」や「分子生物学」、そして、「社会化学」などの進化に期待している状況である。

別の言葉では、「1600年前に発生した西ローマ帝国の崩壊」とは違い、今回は、「東西の文明が融合し、素晴らしい新たな文明が花開く時代」に期待しているが、当然のことながら、「人間には寿命が存在する」という厳然たる事実が存在するために、私自身としてできることは、「あの世からの祈り」しか存在しない状況のようにも感じている。