本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.9.13

戦後の26年サイクル

歴史研究の醍醐味は、時間の経過とともに「真理」が見えてくることだと感じているが、実際の方法論としては、「実際に発生する出来事」を深く分析することにより、ヘーゲルの指摘する「神々の掟」、あるいは、弘法大師が述べる「仏法」が理解できることである。つまり、ヘーゲルは、「神々の掟」と「人間の掟」、そして、弘法大師空海は、「仏法」と「国法」との違いを説明しているが、実際のところ、われわれが「真理」を掴むことができるのは、「天声人語」という言葉が意味するとおりに、「出来事が発生した後に、人間の掟や国法の間違いを理解したとき」とも言えるのである。

より詳しく申し上げると、「1945年から現在までの展開」を考えた時に、「人間の掟」や「国法」などと呼ばれる「人知」では、「既存の経済理論などの応用により、表面上の出来事を、誤って見ていた状況」とも思われるのである。別の言葉では、「実体経済の成長」、そして、「マネー経済の成長」については、前代未聞の状況であるために、既存の知識では、全く対応ができなかった状況のことである。

そのために、現時点で必要なことは、「1945年以降、世界で、どのようなことが起こったのか?」を冷静に眺めながら、「神々の掟」や「仏法」を理解することだと感じており、実際には、「戦後の26年サイクル」を考えることである。つまり、「1945年8月15日の敗戦」、「1971年8月15日のニクソンショック」、そして、「1997年8月13日の信用収縮」に関しては、「26年サイクルの存在」が理解できたものの、「その後のマネー大膨張と発散の過程」については、私自身も、今まで、「天や神の思惑が理解できなかった状況」だったのである。

しかし、今回、「1997年8月13日」から26年後の「2023年8月13日」に思いが至った時に、私自身の仮説として、「ニクソンショックまでの26年間が実体経済の成長期間」であり、その後の26年間が「経済の金融化」と呼ばれる期間だった可能性が思い浮かんできたのである。そして、「1997年から2023年までの26年間」が「デジタル通貨の大膨張と発散過程」のようにも感じられたが、実際には、「100年前のドイツのハイパーインフレ」と似たような展開を辿るものと感じている。

つまり、「スペイン風邪」の後に「1923年のハイパーインフレ」を経験した状況が、今回も、繰り返される可能性でもあるが、今回の問題点は、「1921年のドイツよりも、はるかに大きな規模になる可能性」のようにも感じている。