本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.8.10

マネーの大洪水

8月9日の日経新聞に掲載された「マネーの大洪水」に関する記事には、根本的な誤りが存在するために、決して、内容を鵜吞みにしてはいけないものと考えている。つまり、「正しい分け方ができないために、現状が分からなくなっている可能性」が指摘できるようだが、私自身の経験則としては、「正しく分ければ、全てが分かる」という事実が存在するものと感じている。ただし、現時点での感想としては、「マネーに関する分け方」は理解でき、その結果として、「お金の謎」は、ほとんど解明できたものの、一方で、「マネーの大膨張」を産み出した原因である「人々の欲望」、そして、「心の謎」については、道半ばの状況とも思われるのである。

そのために、今回は、「米国金融市場の実情」を振り返りながら、「日経新聞の記事に、どのような誤りがあるのか?」を分析したいと思うが、実際には、「FRBのバランスシート」において、「負債であるリバースレポの残高が急上昇している理由」が指摘できるものと考えている。つまり、「現在のFRBは、資金繰りの問題に直面した結果として、短期間の資金手当てに追われている状況」となっているものの、今後は、「資金手当ての方法」において、劇的な変化が発生する展開も想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「2008年前後に発生した金融の大地震」以降、「世界各国の中央銀行は、長短金利の操作により、デリバティブのバブル崩壊が表面化する危機を抑え込んでいた状況」だったのである。つまり、「2%のインフレ目標を達成する」という「大本営的な発表」を繰り返すことにより、「国民の預金が、実物市場に流れ込まない状況」を維持することに腐心してきたのである。

別の言葉では、「どのような通貨が、どのような商品に流れ込んでいたのか?」という点において、「デジタル通貨が金融商品に流れ、その結果として、既存のインフレ指数が低く抑え込まれていた状況」だったのである。しかし、現在では、「金融界のブラックホール」とでも呼ぶべき「デジタル通貨が造り出した闇の世界」という状態から、「徐々に、リアル通貨である紙幣が、実体経済に流れ出した状態」とも言えるのである。

そして、今後は、「大量の紙幣が、現実世界の全体に流れ込む状態」、すなわち、「インフレの大津波」が想定されるわけだが、この時に必要なことは、金融界の「ノアの箱舟」であり、実際には、「心の謎」が解明されることにより、「社会科学や人類精神の次元上昇」という、いわゆる「霊的アセンション」のようにも感じている。