本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.7.14

米国CPI5.4%上昇の衝撃

7月13日に発表された「米国6月の消費者物価指数」は「5.4%の上昇」という状況となり、海外では、大きな衝撃を持って受け止められたようである。つまり、周りを見回すと、いたるところで色々な商品の価格上昇が始まっており、そのために、今後の「狂乱的な物価の上昇」を危惧する人が増え始めているのである。別の言葉では、「パウエルFRB議長」が指摘する「一時的なインフレ」という説明について、「1971年のニクソンショックにおいても、『金と通貨との切り離しが一時的なものにすぎない』という説明があった」というように、「信用できない」という意見が聞かれる状況のことである。

そして、この点に関して憂慮すべき事実は、「通貨の目減り」が始まっている状況であり、実際には、「100万円の現金を持っていても、一年後には、95万円程度の購買力に落ち込む事態」である。つまり、現在、「米国のFF金利が0.1%」であり、「CPIとの差が5%以上の状態」というのは、「お金を持っていても、自然とお金の価値が失われる状況」を意味しているのである。

別の言葉では、「1991年のソ連」や「1923年のドイツ」のような状況が、世界各国で発生し始めているわけだが、ほとんどの人は、いまだに、「今までに起こらなかったことは、今後も起こらない」というような「根拠なき楽観論」に支配されているのである。つまり、「1923年のドイツ」においても、「最後に発生した6ヶ月間のハイパーインフレ」を経験するまでは、「ほとんどの人が、数か月後に、どのような悲惨な思いをするのかに気付かなかった」と言われているのである。

そのために、現時点で必要なことは、「現在が、ハイパーインフレ発生までの、どの時点に位置するのか?」を考えることでもあるが、「ドイツのハイパーインフレ」のケースでは、「1921年から22年の段階」とも想定されるようである。また、「1991年のソ連」においては、「国債価格の暴落」が「大インフレ発生の条件」でもあったが、現在、海外で憂慮され始めたことは、「流動性の消滅」である。

このように、現在は、「金融敗戦の前夜」とも思われるが、この点に関して、多くの日本人が言い始めたことは、「1945年と、より一層、似てきた状況」であり、実際には、今回の「東京オリンピック」が「インパール作戦に匹敵する可能性」である。そして、今後の注目点は、「金融界の大量破壊兵器」と言われた「デリバティブ」のバブル崩壊とも言えるようである。