本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.4.30

インフレ大津波の第一波

昨年から始まった「木材」や「銅」、あるいは、「穀物」などの価格急騰は、「インフレの大津波が世界を襲い始めた状況」でありながら、現時点では、「第一波」の小さな波動にすぎないために、ほとんどの人が気付かない段階とも言えるようである。つまり、今までは、「デリバティブの大膨張」が産み出した「大量のデジタル通貨」が「国債や株式、あるいは、土地などの、インフレ指数に含まれず、また、デジタル通貨でも容易に投資が可能な商品」に向かっていた状況だったのである。

別の言葉では、「超低金利の蓋に覆われた金融界のブラックホール」とでも呼ぶべき環境下で、いろいろな「フロス(小さな泡)」が、数多く発生した状況でもあったが、現在では、「デジタル通貨の枯渇」と「紙幣増刷の始まり」により、「実物資産への資金移動が始まった段階」とも言えるのである。つまり、「インフレ指数の計算に含まれている商品」へ、世界の資金が向かい始めた状況のことでもあるが、このことは、「金融界のホーキング放射」とも言える「ブラックホールの内部に存在する大量のデジタル通貨が、紙幣に形を変えて表に出始めた状況」とも考えられるのである。

そのために、今後の注意点は、「国債価格の急落」が引き起こす「世界的な資金重要のひっ迫」であり、実際には、「世界各国の中央銀行が、国債の買い付けを放棄せざるを得なくなる状況」のことである。別の言葉では、「1991年のソ連」と同様に、「国債の買い手」が消滅した結果として、大々的な「紙幣の増刷」に訴え始める状況のことだが、この時に発生する現象は、やはり、「金融界の白血病」とも言える「紙幣が、コンピューターネットワークの中を流れることができない状態」とも想定されるのである。

そして、このような動きが「インフレ大津波の第二波」を形成するものと考えているが、この点については、古典的なインフレ理論が示す「ギャロッピング・インフレ」の段階であると考えている。つまり、今回は、「1923年のドイツと同様の展開」が発生するものと考えているが、実際には、「約6か月間の大混乱期」、すなわち、最終段階の「ハイパーインフレ」の前に、誰もが信じられないほどの「景気の高揚期」が到来する可能性のことである。

ただし、このことは、「回光返照(えこうへんしょう)」と呼ばれる「ローソクが燃え尽きる前の一時的な輝き」にすぎず、その後、本格的な大インフレの時期を経たのちに、全く新たな「東洋の時代」が始まる状況を想定しているが、この点については、いまだに、世界的な認識の遅れが存在しているようにも感じている。