本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.4.17

日本のバブルと中国のバブル

現在の「経済」や「金融」に関する報道を見ると、「デフレなのか、それとも、インフレなのか?」、あるいは、「日米欧の国々は、資本主義から社会主義の方向に変化しているのではないか?」というように、「何が何だか、訳が分からなくなっている状況」のようにも感じている。つまり、最近の金融情勢判断の感想としては、「現在」だけを切り取って分析する「三次元の経済学」では理解が不可能な状態であり、また、一方で、「過去の歴史を振り返り、具体的な数字で分析する」という「四次元の経済学」からは、「きわめて危機的な状態」が浮かび上がってくる事態である。

より具体的には、「戦後の約76年間」を振り返り、「正確な分け方(分析)」を実施することにより「正確な理解や認識」が可能なものと考えているが、実際には、「1990年のバブル崩壊」が「日本における実体経済バブルの崩壊」を意味しており、また、現在は、「中国を中心としたマネー経済のバブル崩壊」が発生している可能性である。ただし、どちらの場合にも、「背後に米国のマネー膨張が存在した状況」であり、実際には、「日本の実体経済成長」に関しては「米国のニクソンショック」、そして、「中国のマネー経済成長」については、「米国のデリバティブ大膨張」が、大きな要因となっていたのである。

より詳しく申し上げると、「1990年のバブル崩壊」は、「日本を中心として、実体経済の成長が終焉した状況」を表しており、その後は、「デジタル通貨と金融商品の大膨張」という「マネー経済」を主体とした経済成長に変化を遂げていたのである。そして、現在の「インフレ指数」についても、「実物商品」と「預金通貨」などでは判断できず、「デジタル通貨」と「デリバティブ」の関係性でしか実態が見えなくなっているのである。

つまり、「超低金利の壁」により「本当のインフレ率」が見えなくなっている状況でもあるが、現在では、徐々に、「金利」が上昇し、その結果として、「アルケゴス」などのように、「デリバティブに絡んだ金融商品」が連鎖的な破裂を起こし始めた状況とも言えるのである。別の言葉では、「中国を中心にして、世界全体で資金繰りが厳しくなった状況」とも思われるが、この点については、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という言葉で「ほめ殺しの状態」となった「1990年前後の日本」と同様の状態とも感じている。

より具体的には、現在の中国は、「世界の覇権国」を自認するような振る舞いが目立つ状況でもあるが、今後は、「奢れるものは久しからず」という言葉のとおりに、「過去30年間の日本」が再現される可能性のことである。