本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.2.26

3万円の日経平均

2021年2月は、「日経平均の3万円越え」が話題の一つとなったが、この理由としては、「30年前のバブル崩壊」が思い出されるとともに、「再び、悪夢が再来するのではないか?」という危機意識が増幅されたからとも言えるようである。別の言葉では、現在の状況だけを切り取って分析する「三次元の経済学」を信奉する人々にとっては、「日経平均急騰の理由」が理解できないだけではなく、「将来の大きな不安感」が強くなっているものと思われるのである。

しかし、一方で、「四次元の経済学」という「具体的な数字で、過去の歴史を分析、研究する方法」を使えば。「1989年の日本バブルが、どのような状況だったのか?」、そして、「その後、世界で、どのようなことが起こったのか?」が簡単に理解できるのである。つまり、「世界の金融システム」において、「マネーの大膨張が、どのような形で進展したのか?」ということでもあるが、実際のところ、「30年ほど前の日本バブル」については、「日本の土地の時価総額が約2500兆円」というように、現在と比較すると、きわめて小さな金額だったことも見て取れるのである。

より詳しく申し上げると、「日本のバブル崩壊」以降、世界的に発生した現象は、「デリバティブ(金融派生商品)」という「新たなバブル」であり、金額的には、「想定元本で約8京円」というように、「日本の土地バブルの約30倍」という、人類史上、最大規模のバブルだったのである。しかも、この時に創り出された「デジタル通貨」については、「2008年のリーマン・ショック」以降、「金融のメルトダウン」という形で、「国債」や「土地」など商品に流れ込み、「ミニバブル的な様相」を呈したことも理解できるのである。

そして、現在では、「デジタル通貨」が枯渇するとともに、「紙幣の増刷」が世界的に始まった状況でもあるが、このことは、「金融界のブラックホール」とでも呼ぶべき「巨額のデジタル通貨が産み出した超低金利状態」が崩壊を始めた状況とも言えるのである。別の言葉では、「世界の中央銀行が協力して、国債を中心にして、市場価格の騰勢が実施されていた状況」に関して、いよいよ、終焉の時が訪れたものと想定されるのである。

つまり、「デジタル通貨」が「紙幣」に交換されるとともに、「金融界のホーキング現象」、すなわち、「マネー経済から実体経済への資金流入」が始まったわけだが、このことは、「古典的なインフレ現象」にすぎない状況でありながら、「史上最大規模のインフレ」を発生させる要因とも考えられるために、更なる株価の急騰を想定している次第である。