
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.4.25
富の増加と移転のメカニズム(1)
「時間の推移とともに、世の中がどのように変化するのか?」を考える「四次元の経済学」において、最も重要なポイントの一つは、「富の増加と移転のメカニズム」を解明することだと感じている。具体的には、「過去200年間に、どのような富が生み出され、また、この時に、どのようなメカニズムが働いたのか?」を考えることだが、この点に関して重要なポイントは「共同体の結合がもたらした生産性の増加」だと考えている。
つまり、「自発的、あるいは、非自発的な要因」に関わらず、「共同体の結合、および、規模の増加や膨張」に関しては、「分業の促進による生産性の向上」が働くものと想定されるのである。別の言葉では、「規模の経済学」が働くことにより「実体経済の成長」が見られるとともに「富の蓄積」が進展する事態のことだが、この点に関する重要なポイントとしては、「信用の量的増加」が挙げられるものと感じている。
より詳しく申し上げると、「他人に対する信用量の増加」が「資産と負債の両立てで社会の富を膨張させる展開」のことだが、実際には、「民間銀行の誕生」により「より多くの貨幣や通貨が、社会に流通し始める展開」のことである。つまり、「部分的な資金の保有により、より巨額の貸し付けを実行する状況」のことでもあるが、この事態が急展開したのが、「1913年の米国FRB創設」ともいえるようである。
具体的には、「金本位制の変化」であり、実際には、「経済成長に伴う資金需要の増加」が、最初に、「金貨本位制」を放棄させ、次に、「金地金本位制」、そして、最後に「金貨為替本位制」までをも放棄させた展開のことである。つまり、「1971年のニクソンショック」をきっかけにして、「人類史上初めての通貨と実物資産との切り離し」が実行され、その後は、現状からもお分かりのとおりに、「世界の通貨や貨幣の残高が、天文的な金額にまで大膨張した事態」となったのである。
しかも、現在では、「デリバティブとデジタル通貨の大膨張」により、「世界中の人々が、単なる数字を本位通貨として認識し、広く利用する事態」となったわけだが、この理由の一つとしては、「実体経済の成長率低下に伴う経済の金融化」が指摘できるものと考えている。具体的には、「実体経済の規模」よりも「貨幣や通貨の残高」の方が上回った結果として、「犬のしっぽが体を振り回すような逆転現象」が発生した事態のことでもあるが、その結果として発生した変化は、「多くの人々が、通貨や貨幣に対して、大きな価値を見出すようになった状況」ともいえるようである。