本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.10.16

世界的なハイパーインフレ

海外では、現在、「世界経済は、いったい、どのような状態になっているのか?」という疑問が噴出するとともに、さまざまな議論が行われているが、具体的には、「実体経済が、今後、ソフトランディングするのか、それとも、ハードランディングなのか?」、あるいは、「リセッションとインフレが同時に発生するスタグフレーションなのか、それとも、財政のコントロールが効かなくなるハイパーインフレなのか?」などである。

そのために、今回は、これらの点を簡単に説明しながら、今後、どのような展開が予想されるのかを考えてみたいと思うが、この時に重要なポイントは、「実体経済とマネーとの区別」を明確にしながら、「金融システムのどこに不良債権が発生しているのか?」を理解することだと考えている。つまり、「フローである実体経済」と「ストックであるマネー」との関係性を理解しながら、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)以降、どのような展開が繰り広げられたのか?」を、正確に認識することである。

より詳しく申し上げると、実体経済の約10倍の規模となった「金融の逆ピラミッド」において、頂点に位置する「デリバティブ」がピークを付けたのが「2010年前後」であり、その後は、「量的緩和(QE)がもたらした金融のメルトダウン」、すなわち、「デリバティブの崩壊を防ぐために実施された中央銀行のリフレーション政策」により、「国債や株式、あるいは、不動産などのバブルが発生し、崩壊した状況」だったのである。

そして、現在では、「民間企業と個人」、「民間の金融機関」、そして、「中央銀行」のすべてにおいて、「バブルの崩壊がもたらす不良債権」が発生している状況ともいえるのである。別の言葉では、「バランスシートの膨張時に発生した資産と負債の増加」が、その後、「バブルの崩壊により資産価格だけが急減し、その結果として、大量の不良債権を発生させた状況」のことである。

より具体的には、現在、世界全体が、「債務の貨幣化」を意味する「財政ファイナンス」、すなわち、「紙幣の増刷か、あるいは、CBDCの大量発行」を迫られている状況ともいえるのである。別の言葉では、「国債の買い手」が見つからなくなったために、「中央銀行が、直接、国債を買い付ける方法」が検討され始めたものと思われるが、このことは、「1991年のソ連」や「過去100年間に30か国以上で発生したハイパーインフレ」などと、全く同じ状況のために、現在では、「世界的なハイパーインフレの発生」に、大きな懸念が持たれ始めた状況とも考えられるのである。