本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.8.25

28兆円の国債費

先日の日経新聞では、「2024年度予算案の概算要求において、財務省が、国債の元本利払いの想定金利を、23年度予算から0.4%引き上げて、1.5%に変更する調整に入った」と報道されており、このことは、今後、最も注目すべき変化の一つのようにも感じている。つまり、今回の金利上昇により、「国債費が、25兆円から28兆円程度へ増える見込み」とも想定されているために、今後は、「GDPで約260%の規模」とも言われている「日本の国家債務」や、あるいは、「日銀の資金繰り」などに関して、大きな混乱が発生する事態が危惧されるからである。

具体的には、「約70兆円」とも想定されている「税収」と比較すると、「28兆円」という金額は「約40%」に相当するために、今後は、「税収を増やすか、あるいは、他の経費を削減するか?」という選択に迫られる可能性も存在するのである。あるいは、より深刻な問題である「国債の買い手が激減し、金利が急騰する可能性」も考えられるが、このことが、私の想定する「目に見えない金融ツインタワー崩壊」のことである。

別の言葉では、「1997年の信用収縮」の時のように、今後、「中国版のリーマン・ショック」が他国に広がっていく状況を想定しているが、「26年前と現在との違い」は、やはり、「世界中のメガバンクが、オフバランス(簿外)で、デリバティブを大膨張させた事実」が挙げられるようである。つまり、過去26年間は、「民間金融機関のバランスシートが大膨張した結果として、メガバンクに大量のシニョリッジ(通貨発行益)が発生し、その恩恵により、超低金利状態の維持が可能だった」という展開だったのである。

しかし、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」がもたらした変化としては、「民間金融機関のバランスシート収縮」が指摘できるとともに、その結果として、「中央銀行のバランスシートを膨張させるリフレーション政策」が始まった状況だったのである。つまり、「中央銀行が民間部門から資金を借り入れて、超低金利政策を実施した状況」のことだが、現在では、ご存じのとおりに、「中央銀行に資金を貸し出す主体」が枯渇してしまった状況とも言えるのである。

そのために、今後は、「債務の貨幣化」である「紙幣の増刷」か、あるいは、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行」が想定されるが、この時に予想される変化としては、やはり、「政府や中央銀行に対する信用の完全喪失」であり、また、その後に想定される国民の行動としては、「80億人の換物運動」が挙げられるものと考えている。