本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2023.6.22

信用本位制の崩壊

「2023年8月15日前後に、金融面での大事件が発生する可能性」については、以前から、「戦後の26年サイクル」として注目してきたが、現在では、「おおよその姿が見えてきた状況」のようにも感じている。具体的には、「6月20日に先行発表されたBISの年次総会レポート」で述べられている「トークン(暗号資産)の導入」であり、また、「8月22日から24日に予定されているBRICSの総会で、金(ゴールド)を基にした新たな通貨制度が紹介される噂」のことである。

より詳しく申し上げると、現在の「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」、すなわち、「1971年のニクソンショック」をキッカケにして誕生した「根本的な裏付けとなる資産が存在せず、また、単なる数字がデジタル化され、公的な通貨となった状況」に関しては、すでに、さまざまな問題を引き起こしている状況とも言えるのである。具体的には、「大膨張したマネーが、地球の環境破壊のみならず、人々の精神性やモラルなどを破壊させている可能性」であり、また、「現在の金融システムを維持するために、オフバランスのデリバティブが創り出され、超低金利状態などの金融面の歪みが発生した状況」のことである。

別の言葉では、「ケインズ」が指摘するとおりに、「約50年という通貨制度の寿命」を迎えた状況のようにも思われるが、基本的な事実としては、「5000年以上の歴史を持つマネー(お金)」において、「1971年のニクソンショックまでは、金(ゴールド)や銀(シルバー)が、基本的な通貨として利用されていた状況」が指摘できるのである。つまり、現在の通貨制度は、過去の歴史に照らし合わせると、きわめて異常な事態となっており、その結果として、未曽有の規模の「デジタル通貨」が産み出された展開だったことも理解できるのである。

しかし、今後は、「シュペングラーの西洋の没落」という著書で予想されていたとおりに、「大都市の貨幣が、皇帝主義で破壊される展開」が、すでに始まった状況とも思われるのである。つまり、「貨幣の歴史」を訪ねると、現在の「デリバティブ」と「国家債務」の「目に見えない金融ツインタワー」に関しては、形成までに「約1600年の時間」を要するとともに、今後は、「信用は一瞬にして崩壊する」という格言のとおりに、きわめて短期間で、雲散霧消する可能性も想定されるのである。しかも、これからは、「村山節の文明法則史学」が指摘するとおりに、「唯物論に基づいた西洋文明」から「唯心論に基づいた東洋文明」への移行が想定されるが、より重要な点は、やはり、「11次元にまで進化した自然科学を、3次元に留まっている社会科学に応用すること」であると考えている。