本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.5.31

マイナスのレバレッジ効果

現在は、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」という「目に見えない金融ツインタワー」が、急激なスピードで崩壊中であり、間もなく、この点に関する大事件の発生も想定されるようである。そして、この時に、最も大きな役割を果たすのが、「マイナスのレバレッジ効果」だと思われるが、この点に関して参考になるのが、「日本の土地バブル崩壊」の時に発生した「時価総額の急激な膨張と収縮」とも言えるようである。

つまり、当時の状況としては、「1985年から1990年までの約5年間」で、「日本の土地の時価総額が、約600兆円から約2400兆円にまでの急増を見せた」と言われたほどのバブルが形成されたのである。別の言葉では、「日本の土地を売れば、日本以外の全世界の土地が買える」と言われたほどの状況でもあったが、この時に思い出されるのが、「時価総額の落とし穴」である。

具体的には、「全体の約3%程度の土地が、実際に売買された」という状況でありながら、「残りの97%の土地保有者が、『絵にかいた餅』とも言える未実現利益に酔いしれた状態」である。そして、「バブルの崩壊」とともに、「絵に書いた餅が雲散霧消した」という展開となったのだが、この点を、数字で表すと、「600兆円÷30=20兆円」から「2400兆円÷30=80兆円」というように、「60兆円の資金が投入されただけで、全体の時価総額が1800兆円の増加を見せた」という計算になるのである。

そして、この計算方法を、現在の「世界的な土地やデリバティブ、そして、債権のバブル」に当てはめると、きわめて巨額な「未実現利益」が存在する状況とも考えられるのである。別の言葉では、「世界的なバランスシート不況の凄まじさ」に恐怖心を抱かざるを得ない状況とも思われるが、今後の問題は、「マイナスのレバレッジ効果が、これから、どれほど働くのか?」だと感じている。

具体的には、「デリバティブと債券のバブル崩壊により、世界のG-SIBsが危機的な状態に陥る可能性」であり、また、「世界各国の中央銀行が、一斉に、CBDCの大量発行を行う可能性」である。つまり、「あると思っていた世界の資金が、一斉に雲散霧消することにより、新たな中央銀行デジタル通貨が発行される状況」であり、このような状況下では、「80億人の換物運動」、すなわち、「早い者勝ちで、生活に必要な食料などの物資を奪い合う状況」が考えられるようである。