本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.4.6

現代版の「裸の王様」

4月5日から「将棋の名人戦」と「藤井聡汰六冠による七冠目への挑戦」が始まったが、「藤井六冠」については、「現代版の『裸の王様』の実践者」のようにも感じている。つまり、「AI(人工知能)」を駆使することにより、既存の常識である「定石」を破壊しているからだが、このことは、同時に、「王様の身分や地位などを証明する『王冠』や『マント』、あるいは、『杖』などの存在を無用なものにした状況」を表しているものと考えている。

別の言葉では、「現代版の『裸の王様』の定義」として、「自分の才能だけを頼りにして、努力を続ける人」が挙げられるとともに、この時に重要なポイントは、「社会科学の次元的な上昇への貢献」とも思われるのである。つまり、「昔の王様」にとって必要なものは、「自分の身分などを証明する道具」でもあったが、「現代の王様」とも言える人々に必要とされるものは、「真理を追究する態度」のようにも感じられるのである。

より具体的に申し上げると、「自然科学の次元上昇」に貢献した「ケプラー」や「ニュートン」などは、「四次元の理論」を導入することにより、「三次元の自然科学」に存在していた「天動説」などの「誤った考え方」を排除することが可能だったことも理解できるのである。つまり、「時間と空間との関係性」に関して、「シュペングラーが指摘する『成ったこと』の正当性と『成ること』の曖昧さ」が証明されたことにより、「人々の努力が効率的な状況」へ変化したものと考えられるのである。

別の言葉では、「未来の株価予測」などに関して、「投資におけるランダムウォーク理論」のような「正規分布が必要とする無限の可能性の解明」ではなく、「時間のサイクル理論」のように「今、何故、このような事件が起こるのか?」を、歴史を遡り解明する態度のことである。つまり、「今回の金融混乱」については、「3000年ほど前の歴史にまで遡りながら、マネー理論や文明法則史学の応用により、予測が可能だった」という思いを抱くとともに、「この方法を進化させることにより、今後の社会科学の次元上昇に光明が見えてきたのではないか?」とも考えているからである。

そして、この時に必要とされることは、「人爵」と言われる「地位や名誉、そして、お金」などを求める態度ではなく、「天爵」と言われる「真理や神の智慧に、どれほど辿り着くことができたのか?」を考える態度とも思われるのである。つまり、「西洋文明が求める外面の価値ではなく、東洋文明が求める内面の価値を求める人々こそが、現代版の『裸の王様』ではないか?」ということである。