本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.2.25

低PBR銘柄の再評価

現在の日本株市場では、「低PBR銘柄の再評価」が進展しているが、この点に関して、今回、驚かされたことは、「低PBR銘柄のバブル相場」というような表現が使われ始めた事実である。別の言葉では、「2000年のITバブル崩壊時」に使われた「ニューエコノミーとオールドエコノミー」を彷彿とさせるような状況でもあるが、一方で、このことは、典型的な「米国のテックバブル相場崩壊」を象徴する事実のようにも感じている。

つまり、「ハイテク銘柄を買うことは善であり、また、従来型の産業に関する銘柄を買うことは悪である」というような雰囲気が醸成された状況のことだが、この時に必要なことは、「投資の基本」である「株式の価値」を理解することである。具体的には、「株式の価値=将来の利益÷株価」という数式において、「企業の努力」を象徴するのが「将来の利益」であり、また、「投資家の評価」を意味するのが「株価」である事実を認識することである。

より詳しく申し上げると、本当の「バブル」が意味することは、今回の「米国株のGAFAMバブル」のように、「市場参加者の評価」が高まり、「過剰な資金」が集まりすぎた結果として、「株価」が、異常な高値にまで上昇した状況とも言えるのである。別の言葉では、「どのような銘柄でも、将来の利益と比較して、株価が割高の状態となれば、バブルが発生する事実」のことである。

そのために、「株式投資」で必要なことは、「株式の価値」を考えながら、「どの銘柄が、割安な状態に放置されているのか?」を考えることでもあるが、現在の「低PBR銘柄群」に関しては、「20年前のオールドエコノミー銘柄群」と同様に、「宝の山の状態」だったことも理解できるのである。つまり、「大量の資金が、一部の銘柄群にだけ集中した状況」となった結果として、典型的な「バブル」が発生するとともに、「その他の銘柄群が割安に放置されている状況」のことである。

ただし、これから必要とされることは、「現在、どれほどの資金が世界に存在するのか?」を理解しながら、「本当のお金」である「金(ゴールド)」と「政府や中央銀行が創造した通貨(フィアットマネー)」を区別することとも想定されるのである。つまり、「貴金属」などのように、「裏側に借り手がいない資産」を保有することが、本当の「資産価値」を理解することであり、また、このことが、今後、「目に見えない金融ツインタワー」が崩壊し、「インフレの大津波」が世界中を襲い始めた時に、我々の「資産防衛」において、最も必要とされる可能性である。