本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.1.31

米中対立の副作用

現在、世界的に問題視されていることは「米中の対立」であり、将来的には、「台湾を巡る武力衝突」までもが危惧されている状況でもあるが、この点に関して、私自身が憂慮することは「米中対立の副作用」である。別の言葉では、「2010年前後にピークを迎えたグローバル共同体が完全崩壊する可能性」のことでもあるが、実際には、「共同体の統合がもたらしてきた規模の経済学が、逆回転を始める展開」である。

より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック以降に発生した、未曽有の規模でのマネー大膨張」に関しては、「グローバル共同体の形成」、すなわち、「世界全体が、お金儲けの価値観に統一された状況」だったものと考えられるのである。つまり、「世界中の人々が力を合わせたことにより、実体経済の成長のみならず、デリバティブやマネーのバブルが形成された状況」のことである。

別の言葉では、「通貨の歴史」を訪ねると、今回の「世界的なマネー大膨張」が、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」以来の出来事とも言えるために、これから想定される「世界的な金融大混乱」に関しては、予想以上の規模となる可能性も想定されるのである。つまり、現在、中国が目論んでいると言われる「サウジなどを巻き込んだ人民元による為替の決済システム」などについては、「米中の対立により、世界全体の金融システムを崩壊させる副作用が存在する可能性」も憂慮されるのである。

そして、この点については、「戦後の26年サイクル」が働いている状況とも言えるようだが、実際には、「1945年8月15日の終戦」から26年後の「1971年8月15日」に「ニクソンショック」が発生し、また、その26年後の「1997年8月13日」に「タイから信用収縮が始まった展開」のことである。そのために、これから危惧される事態は、1997年から26年後の「2023年8月15日前後」にかけて、「目に見えない金融ツインタワーの完全崩壊」が発生する可能性とも言えるのである。

より具体的には、「1997年前後から始まったデリバティブの急激な大膨張」に関して、「前半の約13年間」が「膨張の時期」であり、また、「その後の13年間」が「バブル崩壊と量的緩和がもたらした金融メルトダウンの時期」だった状況のことである。そのために、今後の展開としては、「今後の6ヶ月間に、さまざまな金融混乱が発生することにより、資本主義のみならず、西洋文明が崩壊し、新たな東洋文明の時代が始まる可能性」とも想定されるのである。