本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.12.20

ゼロからの脱出

2023年のキーワードは「ゼロからの脱出」だと考えているが、実際には、「中国が、ゼロコロナ政策から、どのような抜け出し方を見せるのか?」であり、また、「日本を中心とした先進諸国が、ゼロ金利政策からの脱出に成功するのか?」ということである。別の言葉では、東洋学が教える「創業、保守、因循姑息、そして、崩壊」というサイクルに関して、現在の「崩壊の時代」から、次の「創業の時代」に向けて、「産みの苦しみ」という言葉のとおりに、「どのような摩擦や混乱が発生するのか?」ということだと考えている。

より詳しく申し上げると、「超長期サイクルである800年毎の文明交代」に関して、「物質文明、そして、マネーの大膨張という特徴を持つ西洋文明」から「精神文明、そして、宗教の復権という特徴を持つ東洋文明」への移行を想定しているが、より大きな注目点は、「それぞれの時代における共同体の規模と統治方法」だと考えている。つまり、「1600年前の西暦400年前後に発生した西ローマ帝国の崩壊」により、「世界の共同体は、多数、かつ、きわめて小さな規模に分裂した状況」だったものと想定されるのである。

そして、その後の展開としては、「共同体の統合と規模の拡大により、統治の形態が、大きく変化した状況」、すなわち、「当初の800年間は、宗教的な組織化が発生し、その後の800年間は、マネーの膨張と市場経済の発展による組織化の発生」という状況だったものと想定されるのである。つまり、現在は、「世界共同体の完成と崩壊」という「1600年に一度の大転換期」であり、今後は、「ゼロ金利発生の主因とも言えるデリバティブ」が完全崩壊を見せる展開のことである。

そのために、今後の注意点としては、「デリバティブやデジタル通貨が創り出した金融のブラックホール」に関して、「大量のデジタル通貨が、今後、どのような形で実体経済に浸みだしていくのか?」が指摘できるものと感じている。つまり、「中央銀行の資金繰り」において、「最後の手段である紙幣の増刷が、どのようにして実施されるのか?」ということである。

あるいは、「1991年のソ連」を参考にしながら、「国債価格の暴落が、その後、どのような変化を引き起こすのか?」に注目することでもあるが、現在の状況としては、「日銀の国債保有額が、全体の50%を超えてきた」という報道のとおりに、「日銀の限界点が見え始めるとともに、間もなく、本格的な国債価格の暴落を待っている段階」とも言えるようである。