本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.10.13

未来予測学の先駆者

10月13日の日経新聞に、「新常態へ誤算続きの市場」というコラムが掲載され、「2021年から、エリートたちの誤算が続いている」と説明されているが、この点については、大きな注意が必要だと考えている。つまり、「未来予測学の先駆者」とも言える「シュペングラー(西暦1880年-1936年)」の「西洋の没落」という著書では、「西暦1800年から2000年」は「貨幣の支配する時代」であり、また、「第四身分である大衆が力を持つ時代」であるとも結論付けられているのである。

そして、「西暦2000年から2200年」については、「皇帝主義の完成」や「暴力政策による貨幣の破壊」などの時代とも予測されているために、「現在の金融混乱については、100年以上前に、すでに予測されていた」とも考えられるのである。また、このような「歴史サイクルの理論」をより発展させたのが、「日本の村山節(西暦1911年-2002年)」であり、実際には、「800年毎に東西の文明が交代する」という「文明法則史学」の理論を打ち立てたのである。

別の言葉では、「四次元の社会科学」とも言える「歴史や時間のサイクルを応用した未来予測」の利用により、「現在の世界的な混迷は、簡単に説明可能である」とも思われるが、実際のところ、「後世に生まれた者の特権」である「過去の偉人が発見した偉大な真理の利用」により、今回の「世界的な金融混乱」も予測可能な状況だったものと想定されるのである。つまり、「世の中に偶然はなく、すべてが必然である」という言葉のとおりに、今回の「世界的な金融大混乱」についても、簡単に説明ができるとともに、今後の予測も可能な状況のようにも思われるのである。

具体的には、「1971年のニクソンショック」以降、私が提唱する「信用本位制の時代」が始まった状況を理解するとともに、その後、「どのような通貨と商品が、どれほどの規模で創り出されたのか?」を具体的な数字で把握することである。そして、この観点から指摘できることは、「これから想定される世界的な大インフレが、1600年前の西ローマ帝国崩壊以来の大惨事となる可能性」でもあるが、今回の「救い」となるのは、やはり、「11次元にまで進化した自然科学」だと考えている。

つまり、「武力や資金力による奪い合い」ではなく、「世界中の人々が、過去の歴史を振り返ることにより、現状認識を新たにするとともに、力を合わせて、さまざまな難問に取り組み始める状況」のことである。