本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.9.23

現代のパラレルワールド

最近の「ロシア」と「ウクライナ」とでは、「パラレルワールド」、すなわち、「ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)」が形成されていると言われている。つまり、「戦争状態のウクライナ」と「平和状態のロシア」のことだが、この点に関する注目点は、今回の「ロシアにおける部分的動員法案」が、二つの世界の垣根を壊した可能性だと考えている。

つまり、ロシア国民が、戦争の危機を感じた結果として、「デモ行動」に訴えたり、「国外脱出」を図ったりしている状況のことだが、この点については、現在の「世界的な金融システムについても、同様の展開となっているものと感じている。具体的には、「金利やインフレ率の上昇」をキッカケとして、それまでの「超低金利状態」が終焉した状況のことだが、この時の「パラレルワールド」としては、「デジタル通貨やコンピューターネットワークが機能する仮想世界」と「実物資産が機能する現実世界」が指摘できるものと考えている。

より詳しく申し上げると、「デリバティブの大膨張」によって産み出された「大量のデジタル通貨」が、「超低金利の世界」を創り出し、その結果として、多くの人々が、「スマホの中に、新しい未来が待っているのではないか?」と錯覚した可能性である。しかし、実際には、「デジタル通貨の枯渇」の帰結として、「金融界のホーキング噴射」、すなわち、「仮想現実から現実世界への資金移動」が始まったものと考えられるのである。

そして、このことが、現在の「世界的なインフレと金利上昇」の真因とも言えるのだが、「三次元の経済学」や「実体経済だけの経済学」だけに捉われている現代人にとっては、「訳が分からず、状況把握が困難な状態」となっているようにも感じている。つまり、「既存の常識」に固執して、「間もなく、かつての世界が復活するのではないか?」という希望的観測に捉われている状況のことである。

別の言葉では、「失われた30年間の日本人」と同様に、「かつての栄光が忘れられずに、世界の変化についていけない状況」のことでもあるが、現在では、「四次元のパラレルワールド」が発生する可能性も想定されるのである。つまり、「800年ごとの文明大転換」が意味するように、「唯物論が主導する西洋文明」から「唯心論が主導する東洋文明」への移行状態のことである。つまり、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」の後に、「東洋の新たな文明」が発展した状況のことだが、この時には、それまでの「大量に創られたマネー」が、ほとんど消滅したことも見て取れるのである。