本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2022.4.2

グローバリズムの終焉

最近、頻繁に使われている「グローバリズムの終焉」という言葉には、大きな違和感を覚えているが、その理由としては、「グローバリズムの真相」、すなわち、「グローバリズムとは、いったい、何だったのか?」に対する認識不足が指摘できるからである。つまり、私自身は、「世界全体で、共通した商品や通貨が使用される状況」を「グローバリズムの本質」と理解しており、実際には、「コンピューターネットワークとデジタル通貨の発展により、世界中で、ほぼ瞬間的に、金融商品が取引される状況」のことである。

別の言葉では、「お金が神様となった状況」、すなわち、「大量のデジタル通貨さえ持っていれば、人生は安泰だと錯覚した状況」のことでもあるが、今回の「ロシアによるウクライナへの侵攻」については、「通貨の根本である信用」が、完全に失われる効果が存在したものと考えている。つまり、「実体経済の成長」と、その後の「マネーの大膨張」によって築かれた「仮想現実的な現代社会」に関して、現在では、急速に、信用破壊が発生している状況とも想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「西暦1971年から始まった信用本位制という通貨制度」であり、また、「西暦1800年頃から始まった資本主義」や「西暦1600年前後に発生した『時は金なり』いう思想」、そして、「西暦1200年前後から始まった、物質文明を追求する西洋の時代」の全てが、現在、音を立てて、瓦解を始めている状況のようにも感じられるのである。

つまり、「グローバリズムの完成は、西洋の物質文明の終焉を意味しているのではないか?」ということであり、現在、発生している現象についても、「信用本位制の崩壊」、すなわち、「大インフレの発生」とも思われるのである。ただし、今回の不思議な点は、「1971年のニクソンショックに向かって、時代が逆行しているのではないか?」と感じられることである。別の言葉では、「信用本位制の発展に伴って発生した現象」である「オイルショック」や「日本のバブル発生」、そして、「ソ連の崩壊」などの事件に関して、現在、「時間的な巻き戻しの展開」となっているようにも思われるのである。

具体的には、現在、「逆ニクソンショック」とも言える「金本位制や商品バスケット制への回帰」に向かって、世界情勢が、急速に進展している可能性のことでもあるが、この点に関して、今後、最も注目すべき展開は、やはり、いまだに、6京円以上もの規模を保持する「デリバティブのバブル」が崩壊することだと考えている。