本間宗究(本間裕)のコラム

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2022.2.25

ウクライナ問題が示唆するもの

「2月の相場」に関しては、「暦のフラクタル(相似形)」の応用による「未来予測の可能性」の観点から、大きな注目をしていたが、結果としては、予想以上の成果が得られたものと感じている。具体的には、「2月18日前後に、どのような事件が発生するのか?」に注目していたわけだが、実際には、「2月24日に、ロシアがウクライナを軍事侵攻した」という「驚くべき大事件」が発生したのである。

そして、このことから予想される展開は、「今年の10月から11月にかけて、世界的な金融危機が表面化する可能性」だと考えているが、この点については、「1991年のソ連崩壊以降、どのような変化が世界の金融界に発生したのか?」を振り返る必要性があるものと感じている。つまり、「東西の冷戦に敗北し、分裂したソ連が、その後、ロシアとして、徐々に、力を蓄積した状況」のことであり、また、「この過程で、世界の金融市場において、デジタル革命が進展した展開」のことである。

より詳しく申し上げると、「30年ほど前の1991年に、ソ連崩壊により、共産主義が全面的な敗北を喫した」という大事件が発生したが、その後の展開としては、「すでに資本主義国化していた中国とロシアが金融市場に参戦したことにより、人類史上、未曽有の規模で、マネーの大膨張が発生した」という状況だったのである。別の言葉では、「デリバティブとデジタル通貨が作り出した金融界のブラックホールとでも呼ぶべき状況」であり、また、「世界中の人々が、お金儲けに奔走した時代」のことである。

そして、現在では、「金融ブラックホールの蒸発」とともに、「実体経済とマネー経済との関係正常化」を意味する「インフレ」や「金利上昇」が発生し、このような背景のもとに勃発したのが、今回の「ウクライナへの軍事侵攻」だったのである。つまり、「国内の経済問題」から目をそらし、より大きな国民の支持を得ようとした「プーチン大統領」が、「世界的な核戦争」までちらつかせて、「自爆テロ的な行動」を仕掛けた状況のことである。

そのために、これから注目すべき点は、「いつ、どこまで、ロシアの軍事侵攻が継続するのか?」であるが、実際には、「国内外からの批判に耐え切れず、短期間で収束する可能性」が高いものと考えている。また、今回の出来事は、「独裁者による信用破壊」であり、結果として発生する出来事は、前述のとおりに、「10月から11月にかけて、デリバティブの崩壊に伴う、金融システムや通貨制度の崩壊危機」、すなわち、「実体経済」と「マネー経済」との比率調整だと考えている。