本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.12.6

干支から見る2022年

「2022年」は「壬寅(みずのえ とら)」という暦となるが、「十干」の「壬」については、基本的に、「妊」や「任」という文字に繋がり、「新たな現象が孕(はら)まれる展開」、あるいは、「新たな人が任命される状況」が想定されるようである。また、「十二支」の「寅」については、「君子豹変」よりも大きな変化を意味する「大人虎変」という言葉のとおりに、「世の中が様変わりの状態となる可能性」を意味しており、実際には、「未曽有の規模での大インフレが世界を襲う状況」が考えられるようである。

より具体的には、「2008年前後に発生した金融大地震」が、「インフレの大津波」となって世界を襲っている状況のことだが、現在は、すでに、「インフレ大津波の第二波」に見舞われているものと考えられるのである。つまり、「2020年の3月」に記録した「原油先物のマイナス価格」や「米国30年国債価格の最高値」などが、「インフレの大津波が、海上の引き潮から地上へ移行を始めた状況」とも想定されるのである。

そして、その後の展開としては、「ギャロッピング・インフレ」に特有な兆候である「実物商品価格の上昇」に、世界全体が見舞われたものの、一方で、「マネー経済」を代表する「金利」の面においては、依然として、「デフレの様相を呈している状況」となっているのである。つまり、現在の情勢としては、「インフレ率」と「金利」との間で、大きなギャップが存在する状態となっており、このことは、「金利の上昇を恐れる政府やメガバンクなどが、必死に努力している状況」を表しているものと理解できるのである。

しかし、このような努力については、「バブルやダムなどの崩壊」と同様に、「時間の経過とともに、必ず、限界点に達する状況」が予想されるために、現時点で必要なことは、「過去の歴史を訪ねながら、最悪の事態を想定すること」とも言えるようである。つまり、過去数十年間に、どれほどの「マネー」が創り出され、また、どれほどの「歪み」が生じたのかを、正確に分析し、今後の展開を考えることである。

そして、同時に必要なことは、やはり、「自然科学」と「社会科学」との「次元格差」について、より深い分析を行いながら、「どのようにすれば、人間の行動規範とも言える社会科学を発展させることができるのか?」を考えることである。つまり、「人類の絶えざる進化と創造」の要因としては、基本的に、「ヘーゲルの弁証法」や「仏教の煩悩即菩提」などのように、「問題が発生し、人々が必要と感じた時に、天からの知恵となって訪れる構図」のようにも思われるのである。