本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.6.4

FRBのリバースレポ

6月3日の「日経新聞」に掲載された「FRBのリバースレポ」に関する記事は、典型的な「大本営発表的なコメント」だったものと感じているが、この理由としては、「リバースレポ」を実施する理由として「市場における資金余剰」が指摘されているからである。つまり、「米国の中央銀行であるFRBは、市場に滞留した資金を回収するためにリバースレオを実施した」とコメントされているが、実際には、「資金繰りに窮したFRBが、国債などを担保にして、短期資金を調達した状況」だったものと考えられるのである。

より具体的には、「約800兆ドル(約880兆円)」にまで大膨張した「FRBのバランスシート」に関して、今までは、「民間部門からの資金借り入れ」により「国債などの買い付け」が実施可能な状況だったのである。しかし、最近では、「資金の調達方法」として、「リバースレポ (逆現先)」という、かつて「日銀が多用した手法」が使われ始めたことも見て取れるのである。

つまり、「保有している国債などを担保にして、短期資金を調達する方法」については、当然のことながら、「金利を支払う必要性」が存在し、現在の「日銀」のように、「マイナス金利の状況下では、リバースレポの実施が難しい状況」とも言えるのである。別の言葉では、「金利が上昇したために、リバースレポの実施が可能になった状況」でもあるが、一方では、「資金繰りのひっ迫度合いが、急速に増加した状態」とも想定できるのである。

より具体的には、「1991年のソ連」で発生した「長期国債の発行が難しくなり、短期国債の発行に頼り始めた段階」と同様の状況のようにも思われるが、当時の「ソ連」は、「わずか数か月という期間で、紙幣の大量増刷を始めざるを得なかった」という事態に陥ったのである。つまり、現在の「世界的な金融情勢」としては、「世界全体が、1923年のドイツ、あるいは、1991年のソ連のような状態に陥った段階」とも思われるが、不思議な点としては、「当時と同様に、誰も、将来に危機意識を持っていない状態」となっている事態とも言えるようである。

別の言葉では、「アウシュビッツの恩赦妄想」と同様に、「どれほど無謀な金融政策が実施されようとも、決して、過去の大インフレは再来しない」というような「根拠なき楽観論」に支配されている状況とも思われるが、「歴史の残酷さ」については、数多くの証拠が存在するとともに、往々にして、「人々の楽観論」と反対の方向に向かうことも、過去の歴史が示すとおりである。