本間宗究(本間裕)のコラム

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2021.4.1

中国共産党の内憂外患

「米中の対立」は、他の国々を巻き込んで、さらに激化している状況とも思われるが、この点に関して、現時点で必要なことは、「中国共産党の内憂外患」を理解することとも考えている。つまり、「香港」と「ミャンマー」を参考にしながら、「中国共産党は、現在、何を考え、今後、どのような行動を取ろうとしているのか?」を分析することだが、実際には、「武力による帝国主義」と「資金を集める資本主義的な経済政策」という「相矛盾した政策」を同時に進行しようとしている状況とも言えるようである。

つまり、今までは、「羊の皮を被った狼」のような状況であり、実際のところ、「海外の国々は、中国の資本主義化を信じ込み、経済的な結び付きを深めた展開」だったわけだが、「資金力」を背景にして「武力」を獲得した「中国共産党」は、現在、「戦狼外交」と言われるような「時代錯誤の外交政策」を実施しようとしているのである。別の言葉では、かつての「ヒットラー」のように、「武力により、他国の資産を奪おうとしている状況」のようにも感じられるが、この点については、現在、「香港の人々が、急速に海外移住を目論んでいる状況」からも明らかなように、「中国の資金力が、今後、急速に弱まる可能性」を示唆しているものと考えられるのである。

その結果として、今後は、「14億の国民が、どのような行動を取るのか?」が、大きな注目点になるが、実際のところ、「資本主義の恩恵にあずかった人々にとっては、共産主義的な制約を受け入れることが難しい状況」とも考えられるのである。つまり、現在の「ミャンマー」のように、「民主主義」と「自由」を求める国民に対して、「国軍が国民を虐殺するような状況」となる可能性も想定されるのである。

このように、現在の「中国共産党」にとっては、「外患」として「中国包囲網の形成」が考えられるとともに、「内憂」として、「国内におけるバブルの崩壊」や「民衆の不満の高まり」なども想定されるのである。つまり、「中国は、すでに、世界の覇権国になった」というような「誤解」が存在する可能性があり、このような意識が、「ウイグルなどの人権問題」のみならず、「香港における強権的な政治体制」までをも可能な状況にしたものと考えられるのである。

別の言葉では、「西洋の時代」を象徴する「武力と資金力による世界の制圧」を目論んでいるものと思われるが、現在では、「東洋の時代」が始まりを告げるとともに、新たな価値観が必要とされている状況とも考えられるのである。