本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.9.4

金融界のブラックホールに隠された三つのバブル

私自身の「未解決の問題」として「2000年に、何故、国債バブルではなく、ITバブルが破裂したのか?」が存在した。つまり、「10年毎に、一次産品、株式と土地、そして、金利という順番で、バブルが発生し、崩壊する」という私の仮説に関して、実際には、「2000年に国債のバブルが崩壊せず、2019年にまで持ち越された」という状況だったことが理解できるのである。

そのために、さまざまな観点から、この問題を考え続けてきたが、現在では、「時空の歪み」で説明が付いたものと感じている。具体的には、「2008年前後に、約8京円の規模にまで大膨張したデリバティブ(金融派生商品)」が「金融界のブラックホール」を生み出し、この中に、「三つのバブル」、すなわち、「1999年にピークを付けるはずだった国債のバブル」、「2009年に発生する予定だった貴金属のバブル」、そして、「2019年に予定していた株式と土地のバブル」が飲み込まれた状況のことである。

別の言葉では、「人類史上、未曽有の規模で大膨張した世界のマネー」が、「足掛け21年間」にわたる「日本の実質的なゼロ金利」や「世界的なマイナス金利」などを可能にしたわけだが、この原因として指摘できるのが、「1971年から始まった信用本位制」や「市場による信用創造」、そして、前述の「デリバティブ」だったのである。しかし、「2018年9月」に発生した変化は、「デリバティブの減少を、中央銀行のバランスシートの増加で埋め合わせる」という方法に限界点が達したことでもあった。

その結果として、この時から、「金融界のホーキング放射」という「隠されていたバブルの表面化」が始まったものと思われるが、この時の注目点は、「最初が、世界的な『国債のバブル』だった」という事実である。しかも、「トランプ大統領」が仕掛けた「米中の貿易戦争」と相まって、結果としては、「金利の低下」と「株価の下落」というように、典型的な「デフレの状態」に見えたわけだが、このことは、典型的な「インフレの前に発生する引き潮の状態」だったものと感じられるのである。

そして、今後は、「国債バブルの崩壊」とともに、残された「貴金属のバブル」、そして、「株式のバブル」が、今後の2、3年間で表面化する状況を想定している。つまり、いまだに「約6京円の残高」となっている「デリバティブ」に関して、「約1割の不良債権」が予想されるとともに、このことを処理するために、「世界各国の中央銀行が、一斉に、紙幣の大増刷を始める状況」が想定されるからである。