本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.4.25

三度目、そして、最後の警告

今回の「熊本の大地震」については、いろいろな点で驚かされたが、結局は、「人智の限界」が明らかになるとともに、「三度目、そして、最後の、天からの警告」だったようにも感じている。つまり、東洋学では、基本的に、「天災は天からの警告であり、人災が起きていることを気付かせるために発生する」とも考えられており、今後は、「マネーの大膨張」という「人災」が、人々に、大きな影響を及ぼすことが予想されるのである。

そして、「三度の警告」については、私自身が、約20年間参加した「芹沢文子先生」の勉強会で、よく語られたことだったが、実際には、「信仰深い人が、災害に遭った時」の話である。つまり、「私は信仰が深いから、どのような災害にあっても、必ず、神様が助けてくれる」と考えた人が、周りの警告や忠告を聞かなかったそうだが、具体的には、「近所の人」や「警官」、そして、「消防士」が、再三、避難を勧めたのである。しかし、結果としては、「その場所に留まり、災害で亡くなった」というものである。

そのために、この人が天国に行った時に、「神様、なぜ、私を助けてくれなかったのですか?」と尋ねたそうだが、この時の答えは、「私は、三度も助けに行った」というものだった。つまり、「天に声なし、人をして語らしむ」という言葉のとおりに、「天」や「神」の声は、「周りの人から聞こえてくる」ということが、「芹沢光治良先生の三女」である「芹沢文子先生」が、深く信じていた「真理」だったのである。

また、この点を、「1995年の神戸大震災」、「2011年の3・11大震災」、そして、今回の「熊本の大震災」の時に、「人々が、どのように考え、どのように行動したのか?」を、「貨幣の流通速度」の観点から眺めると、実に興味深い事実が浮かび上がってくる。具体的には、「震災のたびに、貨幣に対する信頼度が上昇していた」という事実だが、このことは、「お金(貨幣)が、徐々に、現代の神様になっていった過程」であり、また、「マイナス金利が世界的に発生した理由」とも考えられるのである。

しかし、現在では、「バルチック海運指数の上昇」や「株価や貴金属価格の上昇」に表されるように、「貨幣に対する信頼度」が減少を始めているようだ。別の言葉では、「現代の神様」となった「お金」が、徐々に、その本質を表し始めたようにも感じているが、実際には、「神」が「紙(紙幣)」に変化し始めている状況のことである。そして、このことが、本当の「インフレ(通貨価値の下落)」を意味するのだが、残念ながら、現代人は、依然として、この警告を無視し続けているようである。