本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.1.7

恩返しの人生

ヤンキースの黒田投手が「21億円の年俸」を放棄して、「4億円の年俸」を提示した広島カープに復帰することとなったが、この理由としては、「古巣の広島カープに恩返しをしたい」という点が挙げられている。そして、このニュースを聞いた多くの外国人には、黒田投手が、日本球界に復帰する理由が分からなかったようだが、実際には、本当の「大和魂」の発現とも考えられるようだ。

また、「2006年末」から「2007年7月に金融大混乱が始まる」と警告したが、やはり、この時にも、ほとんどの人が実情を理解せず、単に、「大恐慌の再来」を危惧しただけの状況だったのである。そして、このような「人々の認識不足」が利用され、その後の「量的緩和(QE)」という名の「問題先送り政策」へと繋がっていったのだが、実際には、「世界の国家債務」が大膨張しただけであり、本当の問題点である「デリバティブ(金融派生商品)」については、一種の「飛ばし」のような状態になったのである。

「異次元の金融緩和」を継続し、「アベノミクス」を成功させることが、「黒田日銀総裁」が考える「恩返しの人生」のようにも思われるが、実際に起きていることは、「国民の富」を危険な状態に導いているようにも思われる。そのために、今後の展開には、きわめて大きな注意が必要だと考えているが、この点に関して想起されるのが、昨年に終了した「NHKの大河ドラマ」でもあるようだ。

つまり、「軍師 官兵衛」のことであり、この時も、「黒田」の「姓」が主人公だったが、興味深かった点は、最終回の「徳川家康との会話」だった。具体的には、「天下は誰のものか?」という問答のことだが、感動した点は、徳川家康の「天下は一人のものではなく、天下は天下のものである」という内容のコメントだった。そして、この時に、「徳川幕府が250年も続いた理由」が理解できたようにも感じたが、結局は、「個人の独裁」や「恐怖政治による支配」は長続きせず、「国民の一人ひとりが、安心してできる社会」を創ることが、最も大切なことのようにも思われたのである。

そして、このような観点から、再度、現代の「二人の黒田氏」を考えると、いろいろな点が見えてくるようだが、基本的には、「他人への思いやり」が、人生において、最も重要な点であることを教えてくれているようだ。つまり、「慈愛」という言葉のとおりに、「民を慈しみ、愛す」ということだが、このことは、「西郷隆盛」の「敬天愛人」という言葉と同義語であり、これから想定される大混乱期に、最も重要な「思想」であり、人々が追い求める「考え方」でもあるようだ。