本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.1.17

アベノミクスの問題点

現在、マスコミでは、「アベノミクス」に対して、いろいろな意見が出ているようだが、基本的には、「東北地方の復興」や「国民の生活」などを考えずに、「消費税の増税論議に終始し、日本経済を窮地に陥れた民主党政権」に対する反動が色濃く出ているようである。つまり、「日本経済を再生させるためなら、どのような事も受け入れる」というようなムードが醸成されつつあるようだが、実際の「日本の状況」を考えると、きわめて危機的な段階に差し掛かっているとも言えるようである。

具体的には、依然として、「実体経済」と「マネー経済」とが混同されているために、「何が、本当の問題なのか?」が見えなくなっている点が指摘できるようである。つまり、「日本の失われた20年」に起きたことが、「ありとあらゆる金融政策と財政政策を使い尽くした」ということであり、その結果として、「1000兆円もの借金が残った」という状況でもあるのだが、今回の「更なる金融政策と財政政策」について、「実際に、どのような事が行われるのか?」を考えると、「期待感よりも失望感の方が大きくなっている段階」とも言えるのである。

つまり、「日銀総裁の人事」については、「自民党政権と同じ考えの人を選考する」とも言われており、このことは、「すでに苦境に陥っている日銀の資金繰り」に対して、更なる圧力がかかることが想定されるのである。あるいは、「建設国債の発行」に関しても、「誰が、実際に、その国債を買うのか?」という点が見えなくなっているとともに、「円安が進行した時に、現在の日本の低金利状態が、本当に保てるのか?」という大問題も存在するのである。

別の言葉では、「日本国家の信用」という観点からは、「アベノミクスにより、一挙に、信用の失墜が起きる」という状況が想定されるのだが、現在の「1000兆円の国債残高」を考えると、「これから、究極の問題解決策が実施されようとしている」とも言えるのである。つまり、「国家の借金を棒引きにする方法として、最も早い道筋が選択された」という可能性のことだが、これから実際に起きることは、「紙幣を大増刷して、全ての借金を返済する」という「究極の税金」が課されることが予想されるのである。

そして、このことが、「インフレ税」と言われるものであり、「どのような政府も、最後の段階で、この方法を選択せざるを得なくなる」ということが、歴史の教えるところとも言えるのである。